日本国際連合協会山口県本部ホームページ

トップページ

日本国際連合協会山口県本部について

国際連合とは

活動報告

お知らせ

リンク集

お問い合せ

活動報告

トップ 活動報告 国際理解、国際協力のための各種コンテスト > 高校生による国際交流体験感想文コンテスト最優秀作品

国際理解、国際協力のための各種コンテスト

 募集要項(2013年度)

 最優秀作品(2013年度)【中学生作文コンテスト 高校生による国際交流体験感想文コンテスト】

最優秀作品【高校生による国際交流体験感想文コンテスト】(2013年度)

〜特賞(山口県知事賞)〜

私にできること

山口県立下関中等教育学校6回生 @田 愛(よしだ あい)

私は、自分の住んでいる下関が韓国と近い位置にあるということで、街で韓国人を見かけたり、学校で韓国について勉強していくうちに、自然に韓国という国に興味を持つようになりました。

今回、「日韓高校生交流事業」の一員として韓国を訪れました。訪問前、政治的な問題から不安なこともありましたが、実際韓国を訪問するとそんな不安を全く感じさせない程、韓国のスタッフの方々が温かく迎えてくださり、とても嬉しく思いました。

私は、韓国に行って気づいたことや感じたことがいくつかあります。まずソウル市内を見学して気付いたことの一つとして、韓国の人々が伝統や文化をとても大切にしているということです。

 

今回の研修の間、私達はいくつかの歴史的名所を訪れました。南村韓屋村、光化門、清渓川、いずれも韓国の首都ソウルという都会でにぎやかな街中に隣接していますが、歴史的な建造物の景観を邪魔することなく、過去と現在の雰囲気にはバランスがとれていました。街の看板の文字は全てハングルで表記することが義務づけられているところもあり、最先端の街で景観を保つための努力を感じました。

また、現地の高校を訪れた時、伝統衣装のチマチョゴリを着て作法を習ったり、伝統音楽としてカヤグムという楽器を習ったりしました。その高校では、このような伝統文化を学ぶ授業があり、日常的に実物に触れていました。このように、韓国の人々は歴史や伝統文化を尊重し、今後も伝えていこうとしています。

これに対し、日本では最近着物を着ることもほとんどないのが現状です。実際に私も七五三以外で着たことはなく、着付けの仕方も分かりません。

韓国について多くのことを知り理解していく一方で、自国の文化をよく知らないのは恥ずかしいと思いました。韓国のみならず、外国を知るためには、まず日本のことをしっかり知っておくことが大切だと思いました。

 

次に、現地の高校で感じたことは、韓国の学生の勉強量の多さです。朝早くから学校に行き、夕飯も学校の給食を食べ、ヤザという夜間自立学習の時間もあり、夜遅くまで勉強していると聞いて、私は驚きました。それもあってか、韓国の学生は語学が堪能で、中には日本語を流暢に話せる子もいました。

日本語を話せない子も英語でコミュニケーションを取っていて、その凄さに圧倒されました。羨ましく思うと同時に、見習わなければいけないとも思いました。

また私は、韓国人の、人との距離の取り方についても驚きました。訪れた高校では、一人一人にパートナーがついて学校内を案内してもらい、一緒に給食を食べました。校内を見学する際、私のパートナーの子は初めてあった私の手を取り、私達は手をつないで歩きました。韓国では友達同士で腕を組んだり手をつないだりすることが当たり前だそうです。韓国に行く前の事前研修で聞いてはいましたが、実際にされた時は、正直驚きました。でも、私と仲良くなろうとしてくれているのだと思うと、何だか可愛く思えて嬉しくなりました。

その後の運動会でも一緒に腕を組んで応援したり話をしたりして、私達の距離がぐっと縮まったのを感じました。最後には、日本の学生も韓国の学生も、別れを惜しみ涙を流しました。4時間という短い時間でしたが、その4時間は交流をした全員にとってかけがえのない思い出になりました。

 

5泊6日の研修で新しく知ったことや驚いたことが多くありましたが、その違いを十分に理解し、楽しむことができたと思います。また、高校の歓迎式で日本の学生代表として韓国語で挨拶をするなど、新しいことにも積極的にチャレンジしました。この積極的にチャレンジすることは今回の訪問での私の目標でもあったため、私自身新たな一歩を踏み出せたと思います。

先日、釜山の中学生・高校生が私の通う学校を訪れました。一緒に韓国の伝統的なゲームを楽しみ、韓国語でたくさんの会話を楽しみました。韓国で受けた歓迎のお返しが少しは出来たかな、と思います。

 

今回の研修を通して出来た日韓の繋がりをこれからも絶やすことなく、互いを知り、互いの国を知っていきながらこの交流を続けていくことが、私に出来る未来のより良い日韓関係をつくるためのことだと考えています。

最後にこの研修に参加できたこと、そのために関わってくださった方々、新しく出会った日韓両国の学生、全てのことに感謝すると同時に、韓国で自分が実際に見たこと聞いたことを忘れす、今後に生かしていきたいと思います。

 

〜特賞(日本国際連合協会山口県本部長賞)〜

境界線上の私

野田学園高等学校2年 小枝 香菜子(こえだ かなこ)

「一歩踏み出すことが、国際化につながる」

留学生のレオノーラと出会った日から、約一か月たった日に聞いた言葉だ。

彼女はオーストリアからの留学生で、一年の二学期から私のクラスメイトとなった。話せる日本語は簡単な挨拶だけ。私も、英語で日常会話ができるなんて、夢のような状態だった。当然、レオノーラと話すことはできなかった。それに加え、私は人見知りだ。普段の生活でも自分から他の子に話しかけることができないくらいだ。言葉が通じない、初めて出会った人。その時の私は、心の中で勇気をかき集めなければ、一歩を踏み出すことができなかったのだ。

周りの友達は、次第に彼女との会話を楽しむようになっていった。私は取り残されたような気分で、無意識のうちに彼女と距離を置こうとしていた。

そんな時だった。学校の講演会で外交官の方のお話を伺う機会があり、この言葉を聞いた。

「一歩踏み出すことが、国際化につながる。」

私の現状を察していたかのような一言だった。この言葉は、そっと私の背中を押し、レオノーラとの境界線を越える勇気を与えてくれた。その日から私は心を開き、彼女にも心を開いてもらえるよう努めた。

しかし、コミュニケーションを取るのは容易ではなかった。彼女の言いたいことが分からない。私の言いたいことも伝わりづらい。伝わらないことがもどかしくて、いらいらが募っていった。

 

一年たった今だから分かることがある。私の接し方は「上から目線」だったのではないか、ということだ。彼女に教えてあげる。親切にしてあげる。話しかけてあげる。全て一方的に「あげる」接し方だった。決して対等ではなかったと感じる。こんな人間に心を開く人がいるはずもない。ぎこちない人間関係が変わらないまま続く内、私はまた自分の消極的な気持ちに目隠しをするようになった。いつしか私の勇気は散り散りになっていった。

 一方レオノーラは、体育大会等の学校行事を経て、徐々に学校生活に慣れてきたのだろう。彼女はいつの間にか日本語を習得し始めていた。彼女からも積極的に話すようになっていた。すると、私の勇気も自然と集まり始め、楽しくおしゃべりするようになった。「あげる」接し方でなく、対等な友人としての接し方に変わっていったと思う。

 心が通じ合う瞬間は、偶然に、何の気負いもない中で訪れた。私はイラストを描くのが好きで、休み時間に書いていると、彼女が声をかけてきた。なんと、私が書いていたボーカロイドを彼女も好きだというのだった。意外なところでの共通点。その事に驚くと同時に、嬉しくて仕方がなかった。心が通じ合うことの湧き上がるような、染みわたるような温かい感覚。この出来事は、コミュニケーションの方法は言葉だけではない、という発見にもつながった。

 

伝え合いたい。分かり合いたい。友達になりたい。この気持ちが境界線を越える一歩を踏み出す勇気をくれる。一方通行では越えられない。互いが目と目を合わせて、言葉で、絵で、身振り手振りで、通じ合おうとすることが大切なのだ。

 総合学習の時間では、日本語の敬語について話し合う機会があった。その際、彼女は敬語に否定的だった。日本人にとって当たり前である敬語は、彼女には必要のないものとして考えられているのだ。文化の違いを実感した。しして、共通点だけではなく、違いを違いとして認識することも、国際理解の一歩だと考えるようになった。違いは認識できても受容はできないかもしれない。しかし、認識した上でお互い歩み寄ることができた時、国際理解は更にステップアップするのだろう。

 彼女が来てからの一年間は、長いようであっという間だった。私の知らないうちに彼女の日本語は上達しており、私は英語を話せるようになろうという努力さえしていなかった。彼女と私との境界線がなくなったのは、彼女の勇気と努力のたまものだ。私は前に進むことができなかった。私は自分から歩み寄ろうとせず、彼女が歩み寄ってくれることを待っていた。私は臆病で、「受身」だった。

 

レオノーラにとって、この一年はどんな一年だったのだろうか、彼女は楽しめたのだろうか、私は彼女のクラスメイトであっただろうか、と何度も考えることがある。レオノーラとの出会いは、離別の寂しさと後悔がもたらす痛みとともに、私に「国際理解とは何か」を考えさせる思い出として残り続けるだろう。

 

All Right Reserved. Copyright (c)日本国際連合協会山口県本部