赤ちゃんができるのは一本の針の上に一粒の米が当たることと同じ |
バトムンフ・エルデネサイハン |
モンゴルには、「赤ちゃんができるのは一本の針の上に一粒の米が当たることと同じ」という諺があります。「命の誕生はほとんど奇跡のようなもの」という意味です。モンゴル人は昔からこの諺を大切にしています。日本に来て驚いたことがあります。それは日本は世界で自殺率が6番目だということです。先進国でいろいろなチャンスと生きるために必要なものがたくさんあるのに、なぜ日本人は自殺をするのでしょうか。留学生の私には分かりにくいことです。
自殺に至る原因は何でしょうか。健康問題、経済と生活問題、人間関係でしょうか。また、少年自殺の原因は学校でのいじめだと聞いています。昔、日本では武士には切腹の文化があったと聞いたことがあります。その考え方も今日本人の中に残っているのかもしれません。
もちろん、人生にはたくさんの問題があります。しかし、それは世界中同じです。日本人はそれを解決していこうと思うより、一番簡単な道として自殺を選んでいるかもしれません。モンゴル人にはその選択肢はありません。それは母国は遊牧民族で、生き残るために美しいけれど厳しい自然と戦って来て、生きることの価値を強く感じているからです。そのため、私たちの心に生きていけば何とかなる、死んだら何もできなくなるという知恵が強くなり、自殺のことを考えません。人生には山もあれば谷もあります。
そして、自分の体験から私はもう一つのことを考えました。日本人は自分を傷つけることに勇気を出しますが、なぜ必要なとき、つまり自分のためにそれをださないのでしょうか。例えば、クラスメートたちが授業のとき先生に質問されても知っているのに答えません。ボランティア活動に参加したいのに勇気を出さないで自分の前にあるチャンスを失ってしまいます。もちろん、勇気と自信を持っている人がたくさんいますが、私の周りには少ないです。特に若い人たちがもっと自分に自信を持ち、自分の将来、家族の将来、国の将来、世界の将来を考え、がんばって生きてほしいです。
更に自殺を減らすために私たちは何をすればいいでしょうか。インターネットやテレビや本などで自殺の手段や情報を流さないこと、自殺に反対のボランティアを行うこととか様々な方法があると思います。しかし、私にとって一番大事なのは「自分を愛する気持ちを持つ」ことだと考えます。自分の命を神様からもらった貴重なものと思ってほしいのです。一人一人がその気持ちになり周りの人たちに伝えることによって自殺はほんの少しでも減るのではないでしょうか。たった一つである自分、自分の命を愛しましょう。
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