私は、小学四年の時にボーイスカウトに入隊をしました。私の親が、多くの人と関わりを持ち視野を広げてほしいと勧めたからです。
中学二年の夏、第十六回日本スカウトジャンボリー、アジア太平洋地域スカウトジャンボリーが、私が住む山口市のきらら浜で開催されました。そこで出会ったのが台湾人のトーマスでした。彼とは英語を使って話しました。はじめは言葉が通じないため、話すのに時間がかかり、上手く思いが伝わりませんでした。しかし、トーマスは中学生の私でもわかるように簡単な英語でゆっくり話してくれたり、私の伝えたいことを一所懸命理解しようとしたりしてくれました。彼のおかげで、とても楽しくて嬉しくて、充実した時間を過ごすことができました。
私はトーマスとの出会いは奇跡だと思います。言葉、文化、生活習慣などが違っても、思いやりや愛情に満ちた対他意識をもつことで心が通じ合うことがわかったからです。
ところで、ボーイスカウトに入隊する前の私は、日本以外の国で大きな災害や戦禍、事故が起きても他人事でした。日本が私の生活の中心であり、私はただ漠然と生き、日本以外の国ことなど、学校の授業で習うこと以外に考えたこともありませんでした。しかし、近年の世界情勢に目を向けると、ウクライナとロシア、ガザ地区のパレスチナ人とイスラエルとの対立、イラク内戦など、民族や宗派などの利益のために何の罪のない子どもたちまでも戦禍に巻き込まれています。テレビのニュースや新聞報道に触れるたびに私の心は痛みます。
現在の国際連合においての各国の話し合いの状況を見てみると、自国の利益ばかりを主張して対立しています。もっとグローバルな視点から、自国の利益のみではなく他国を含めた世界全体を考えた話し合いが行われることが重要ではないかと思っています。
紛争が起きて、尊い人命が失われてから活動するのではなく、紛争を未然に防ぎ人類共存に力を注ぐ国際連合になることが、世界平和のためには不可欠だと思います。
これからの国際連合の課題として、私は子どもや老人などの社会的弱者の最優先保護があげられます。どのような状況においても、子どもや老人などの人権や平和な生活は守られるべきだと考えるからです。
私はこれからの未来を担う子どもたちの意見を現代社会に多く取り入れるために、「国際子ども会議」を提案したいと思います。この会議には、国際連合に加盟しているすべての国に、子どもの参加を義務づける必要があります。会議では戦争のない平和な国際社会を築くために、意見を交換します。純粋な気持ちで話し合うことが期待できます。世界の国々はこの中で決議されたことを、総会や安全保障理事会等に反映させなくてはならないことも重要な条件となります。
国家、民族、宗派の対立は、即、人間同士の対立ではなくて、国、民族、宗派の利害が生む対立に他なりません。諸外国の政治体制、民族、宗派の主導権争いによって、人々は戦わざるをえない状況になっている国や地域もあります。戦うことで意思を表す人類ではなく、ゆっくりとした歩みになるかもしれませんが、子どもたちの世代から話し合いにより、人類の進化をめざさなくてはなりません。
私はトーマスに出会い、人と人とがつながるという人生において貴重な体験をしました。このことを踏まえ、私にできることは、世界平和、人類共存の視点から社会に対して正しい知識を得て、自ら考え判断し意見を持つことです。そして、それを世の中に訴えていく活動をしたいと思います。人と人とがつながり大きな輪ができれば、必ず平和な世界になることを確信しています。
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