日本に住む私達は、何不自由なく毎日を過ごしている。しかし、世界にはそうでない人もたくさんいる。インターネットで調べてみると、世界で五歳の誕生日を迎える前に命を落とす子どもの数は年間約二千万人、そして学校に通っていない子どもは約一億千五百万人もいるそうだ。その他にも、その七〇%が有害で、過酷な状況下での労働を強いられているという児童労働、ストリートチルドレン、飢えに苦しむ人々…。世界では、今この瞬間にも様々な問題が起きている。
私は小学四年生の頃、タイに行ったことがある。その旅行で、私はガイドのターさんというお姉さんととても親しくなった。ターさんは日本語ができるので、タイでは日本人観光客のガイドをして比較的収入の多い方だと思うけれど、田舎にはたくさんの兄弟がいるとのことだった。ターさんとは旅行の後も手紙のやりとりが続き、再びタイを訪れた時には日本語を勉強しているターさんのために、自分の使っていないノートや、ひらがな帳などを持って行った。ターさんはとても喜んでくれて、持って行った私の方もうれしくなったのを覚えている。そして、ターさんは私にタイの文化や歴史を、私はターさんに日本の文化であるあやとりを教え合い、国際交流という点でとてもいい経験になった。
そんな大好きなタイだが、その経験の中で今でも忘れられない光景がある。それは私が車に乗っていた時のことだ。信号で止まっていた車の窓を叩く音がした。窓を開けてみると、私と同じくらいの年の男の子が立っていて、その手には観光客用の売り物が握られていた、もう夜で辺りは暗く、その日は雨も降っていたのにもかかわらず、なんとその男の子は働いていたのだ。それも、裸足で傘もささずに。本やテレビで知ってはいたが、現実に働くその姿に、私はとてもショックを受けた。そして、私と男の子の置かれている環境の違いの大きさに複雑な気持ちになり、「世界にはこの男の子のような子どもがたくさんいるけれど、私は今のままでいいのだろうか。」とも思った。
日頃、私達は物があふれている中で、ほしいと思う物が簡単に手に入る。だからまだ使える物があってもすぐ新しい物を買ってしまう。それだけではなく、私達は当たり前のように食べる物があり、当たり前のように学校に行っている。タイを訪れたことで、私達にとって「普通」と思っていた事は、とても「幸せ」なことなんだと改めて思った。
私はユニセフのはがきを買ったり、募金をしたことはあるが、他に何かできることはないのだろうか。そこでユニセフの活動に興味を持った私は、調べてみることにした。ユニセフとは、一五六の国と地域で子どもたちの生存と、健やかな発達を守るために保健・栄養・水と衛生・教育などの支援事業をその国の政府やNGO、コミュニティと協力して実施している団体のことだ。主な活動としては、学校に教材やノートなどを届けたり、HIV(エイズ)の感染者の治療、孤児や難民、ストリートチルドレンの保護、募金活動など、他にも色々な分野で活動しているそうだ。私は調べていくほど、ユニセフの活動がすばらしい仕事だと感じ、将来はユニセフのように世界中の困っている人の手助けをする仕事に就くのも希望の一つになった。
私はそのために募金やボランティアへの参加など、今できることを少しでも実行していきたい。そして、少しずつ世界に目を向けて国際ボランティアについて学び、いろいろな人との交流を通して相手を思いやる事が大切だと思う。私にできる事はほんの些細な事だと思うけれど、それを積み重ねて私なりの国際協力をしていきたい。そして、世界中の人々が心から笑顔になれる日が来た時、世界に本当の平和が訪れるのではないだろうか。
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