私は山口東京理科大学の高俊吉と申します。
本日は、日本人の食に対する尊敬の念について、お話したいと思います。
私は、以前、日本の食品工場でアルバイトをしていました。私の担当は、食品をお皿にきれいに並べることでした。私は作業を早く、楽にやろうと思って、片手でやっていました。そうしたら、一緒に作業していたおばさんに「食品をちゃんと両手で持ちなさい!」と叱られてしまいました。その時、私は「このおばさんは変な人だな。きれいに並べれば、片手でも両手でも、どっちでもいいんじゃない?」と思ってしまいました。
しかし、周りの人を見てみると、ちゃんと両手で慎重に食品を並べていました。食品を丁寧に扱うみんなの態度と真剣な眼差しを見て、私は恥ずかしくなりました。作業が早くすむなら、少しぐらい雑に扱ってもよい、という気持ちが、私の中にあったのかもしれません。それから、私は、自分の作った料理を家族や友達に出す時のように、心を込めて、両手で食品を丁寧にお皿に並べるようになりました。
ある日、工場で問題が発生しました。その問題おかげで食品は全部返品になり、何百万円もの損失が出ました。その問題というのは、出荷した何百もある箱のうち、たった1箱の表面に、賞味期限を押し忘れていたというものでした。
アルバイトを始めたばかりの私は、本当に驚いて、理解することができませんでした。「そこまでしなくてもいいんじゃない?その一つだけ返品すればいいんじゃない?」と思いました。
しかし、お客さんの立場から考えると、素晴らしい安全管理体制だと言えます。食品を提供するために、どんな小さなミスも許さないという日本の会社の姿勢に、感動しました。日本の食品は、安全で信頼性が高いと再認識できました。
もちろん、私の国、中国でも、食べ物を大切にする教育は、皆、子供の頃から受けています。しかし、日本に来てから、中国人の意識は日本人と比べたら、低いように感じました。
日本人は食事の前に、「いただきます」、そして、食べ終わったら、「ごちそうさまでした」と言い、茶碗には、ご飯を一粒も残しません。これは食べ物に対する感謝だけでなく、食べ物を生産し、提供し、料理した人への敬意の表れです。
食べることは生きることの基本です。食に対する尊敬の念が、日本の発展を支えてきたといっても過言ではありません。我々中国人も、そして、外国人の皆さんも、食を大切にする日本人の精神を見習って、人生をより豊かなものにしていきましょう。
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